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本件の概要
製品や建物、サービスなどを、高齢者や障害者、海外からの旅行者など、多様な人々にも使いやすくなるように工夫するデザイン手法を「アクセシブルデザイン」といいます。
この「アクセシブルデザイン」の実践に役立つ日本発の国際規格が、今年相次いで制定されています。
1.背景
高齢者や障害者、海外からの旅行者など、多様な人々への新たな工夫や配慮が日々生まれています。
しかし、統一の取れていない運用は利用者の利便性をかえって損なう可能性があり、標準化による一定のルール作りが望まれていました。
2.コミュニケーション支援用絵記号原則
コミュニケーション支援用絵記号は、それを指し示すことで聴覚や発話に障害のある人や、言葉の違う人同士がやりとりできるように、ボード等に印刷して使われる絵記号です。
国内では、平成17 年にJIS T0103(コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則)が制定され、この規格に基づいて作成された絵記号が、すでに駅や空港、金融機関等で活用されています。(別紙参照)
本年1 月に発行された国際規格ISO 19027(絵記号を使用したコミュニケーション支援用ボードのためのデザイン原則)は、上記のJIS に基づいて日本が提案したものです。
誤認識が起こりにくくわかりやすい絵記号を作成するための10 のデザイン原則とともに、絵記号の共通化すべき表示方法や、印刷する「ボード」の望ましい特性を規定しています。
3.誘導案内用音サイン
誘導案内用音サインは、主に視覚に障害のある人々の誘導と安全確保のための配慮として用いられています。
現在国内では、駅の改札口や建物の入口付近等で鳴っているチャイム、駅のプラットホーム上で聞こえる鳥のさえずり音、エスカレーターや公共トイレの入り口付近等で流れている言葉での案内などが普及しています。
本年2 月に発行されたISO 19029(アクセシブルデザイン-公共施設における聴覚的誘導信号)は、平成26 年に国内で制定されたJIS T0902(公共空間に設置する移動支援用音案内)を基に日本が提案したものです。
この規格の中では、諸外国の多様な環境下での使用を考慮し、言葉を含まないサイン音に範囲を限定したうえで、「誘導用」のサイン音として聞き取りやすい音の特性(図.信号の包絡線)や、再生用スピーカーの設置方法等を規定しています。
4.制定による期待効果
我が国では2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国際的にも通用し、わかりやすく見やすい絵記号の活用が望まれ、国際規格の発行が、その作成と普及の原動力となることが期待されます。
また、公共空間における誘導案内のためのサイン音は、諸外国でもその活用を望む声が多く、今後、この国際規格に基づいた「より聞き取りやすい」音による案内の国際的な普及が期待されます。
担当
産業技術環境局 国際標準課
公表日
平成28年2月24日(水)
発表資料
· http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160224002/20160224002.html